22:18

杉井ギサブロー版『グスコーブドリの伝記』を鑑賞。圧倒的な美しさの風景描写は多くの人の支持が得られそうだけど、物語の描写が徹底して主観的で感情移入がしづらい。特にラストはかなり無茶な演出で、消化不良を起こす人も多そう。でも僕には強く共感できるテーマで、違和感なくとても面白かった。

22:30

僕は学校の教科書くらいしか宮沢賢治の著作に馴染みがなく、原作も未読。よくわからない、幻想的でシュールな作風の作家さんという印象だったが、杉井ギサブロー版『グスコーブドリの伝記』では僕の思ってるよくわからない感じが的確に描写されていて、その描き方が大変よかった。

22:40

杉井ギサブロー版『グスコーブドリの伝記』で描かれてるよくわからない感じは、他人に感じるよくわからない感じだと僕は解釈した。今作は徹底して主人公の主観的な心象を描いており、他人の視点がない。僕にとって他人がよくわからないのは自然なことで、今作はそれが通底してるように感じた。

22:46

宮沢賢治 グスコーブドリの伝記

グスコーブドリの伝記』の原作は、科学技術で自然災害を克服する具現的な面が芯にあるけど、杉井ギサブロー版はそこが大きく改変されており、幻想的な面が強い。ラストは『雨ニモマケズ』の後半部分につなげて描かれていて、このあたりは昨年の東日本大震災をからめて考えちゃうよなあ。

22:58

杉井ギサブロー版『グスコーブドリの伝記』のラストはかなり無茶な演出だが、これは自己犠牲的な描写を徹底して排除した結果だろう。世界のためでも他人のためでも、さらには自分のためでもなく、主人公にとってああするのは自然なことで、個として完結した行為なのだ。僕はそこに強く共感した。

23:00

大自然の災厄を前にして、人は、おろおろし涙を流すだけのデクノボーなのだろう。デクノボーと呼ばれ、褒められもせず苦にもされない。サウイフモノに彼はなったのだ。きっと。

23:09

@yumikasasan 青空文庫に原作があったので、さらっと読んでみました。原作はずいぶん短くて、映画版は原作の重要な点をいくつか改変し、また、かなりの肉づけがされてるみたいですね。たぶん、僕は原作を読んでなかったのがかなりプラスに働いたんだと思います。

23:36

杉井ギサブロー版のブドリは、子供の頃に究極の悲惨体験をしたせいで死生観が狂っちゃったんです。彼は死ぬのが全然怖くない。だから彼にとって、火山島に一人残り噴火ボタンを押すのは、電車で老人に席を譲るのと変わらない。そんな日常茶飯事は描写するまでもないんです。みたいな理解ですね僕は。

23:37

ブドリ「えーッ、飢饉来るんスか!? それ、チョ→ヤバくないスか? てゆーか激ヤバッスよ! だったらオレ、火山島に行って噴火ボタン押してくるっス。これで問題ないっスね。え? あー、オレ、死ぬの全然怖くない派なんで大丈夫っスよ。ガキんとき家族みんな死んじゃったし、全然余裕っス」

25:36

@JamcoDX ちょうど明日までやってる映画なので、まだ持ってないんすよー。原作はぜんぜん知らなかったけど、すっげー面白かったです。